普段、学生のノートPCの状態をみていると維持管理が足りていないのでPCのパフォーマンスが低下しているなと思うことがあります。その理由の大きな要素は「PCは授業中などの限定したシーンでのみ利用」「バッテリー動作」です。ほとんどのインターネット利用はスマホで行うのでPC利用は受講などに限定されます。私のように古い人間だとほとんどの作業はPCですが、そうではないわけです。それとバッテリーの保ちもよいので電源があってもバッテリー動作させていることが多いようです。しかし、上のような使い方は現状のWindows PCとはあまり相性がよくないように思います。というのは作業していない隙間にアップデート等のメンテナンスが自動実行されるようになっていたり、バッテリーだとフルパワーを出さないようになっています。
逆?に様々に駆使していて、その結果パフォーマンスが低下しているケースも見られます。いずれもPCの維持管理で改善できる可能性があります。
前置きが長くなってしまいましたが、意識的にWindows PCを維持管理する方法を以下に紹介します。これですべてとか、これらのすべてが安全だというわけではないので、適用は自己責任でお願いします。
電源設定(電源に接続する)
最近のノートPCはバッテリーの持ちがよいせいか、学生の利用状況を見ていると意外と?電源を接続しないで使用しているようです。一般的にノートPCは電源接続の有無でパフォーマンスが異なります。電源を接続していないときにはバッテリーでの動作時間を延ばすために省電力モード=低速になります。
ですので速度を求めている場合には電源を接続することが重要です。また、設定次第で電源を接続しても省電力モードで動作するので、設定自体の確認も必要です。設定→システム→電源とバッテリーでその確認・設定ができます。電源モードは通常「最適なパフォーマンス」になっていると思います。例えばこれを「トップクラスの電力効率」にすると電源を接続しても省電力モードで動作します(ので、ここでの目的には反しますね)。
Microsoft PC Managerの導入
PCの維持管理の一部を自動・半自動で済ませてくれるツールとして「Microsoft PC Manager」の導入は手間・効果のパフォーマンスが非常によいように思います。
導入はMicrosoft Storeから行うのがお勧めです。スタート→Microsoft Storeから、検索キーワードとして「PC Manager」と入力し表示されるリストから「Microsoft PC Manager」を選択しインストールします。
初回起動時に自動起動するかどうかを尋ねてくると思うので自動起動する設定をお勧めします。
とりあえず起動したら手動で「ブースト」を実行します。これだけで不要なファイルが削除されてストレージに余裕が生まれます。足りなければ更に「記憶域」→「詳細クリーンアップ」も実行します。
更に「設定」でスマートブーストをONにしておけば、後は自動的に実行されます。
Windows Updatesの実行
Windows Updatesは基本的に常に導入すべきです。セキュリティ改善などが行われるので、一般用途では適用しない理由はないでしょう。
ディスクの最適化の実行
最後にディスクの最適化です。
HDDではディスク上におけるデータの配置が悪くなるとアクセス速度が低下します。これを防ぐため並べ換える処理をデフラグといいます。
SSDではその動作原理の違いからデフラグは効果がありません。が余計な余白が残ってしまうことで容量を圧迫したり速度を低下させる要因になります。これを解消する手段として最適化があります。
エクスプローラで「Cドライブ」を右クリックしプロパティを開きます。
ここでツール→最適化→最適化で実行できます。
不要なソフトウェアのアンインストール(セーフモードでの確認)
PCのソフトウェア反応速度が低下した場合、インストール済のなにかが悪影響を及ぼしている可能性があります。残念ながら後から効いてくることもあるため、直前にインストールしたものが理由とも限りません。
王道で言えばタスクマネージャーでプロセスを確認する手段があります。ここでCPU順あるいはディスク順に並べ換え、負荷の大きなプロセスを調べます。これで悪影響を及ぼしているものがわかるケースもありますが、不用意に停止するとWindowsやあなたが必要としている機能を停止してしまうこともあるので要注意です。わかる範囲に留めましょう。またこれだと負荷は大きくないが悪影響を及ぼしているようなケースの発見は難しいです。
そもそもなにが原因かどうかもわからないことも多いので、セーフモードと比較してみることが考えられます。セーフモードでは余計なものは起動しないでくれます。セーフモードへの移行はおおよそ以下のような手順となります。
- 設定
- 回復→PCの軌道をカスタマイズするの右にある「今すぐ再起動」
- (しばらく待つとオプションの選択となる)
- 「トラブルシューティング(Trouble Shooting)」
- 「詳細オプション(Advanced Options)」
- 「スタートアップ設定(Startup Settings)」
- 「再起動」
- (しばらく待つと1~9を選ぶ画面になる)
- 「セーフモードとネットワークを有効にする」(たぶん5です)
- (再起動するのでログオンする)
- (ここで余計なソフトウェアを起動しない、できるだけピュアな状態で起動している)
- (ここで所望のソフトウェアを起動・実行してみて、速度が回復していれば、なにかが悪影響を及ぼしていたことが確認できたと考えてよさそうです)
- (再起動するとセーフモードから脱して通常モードで起動)
セーフモードで正常に動作する場合には、インストールしたソフトウェアのどれかが悪影響を及ぼしている可能性があります。ある意味で最も単純なのはリセット(初期状態に戻す)ですが、それ以外にもインストールしたソフトウェアをアンインストールすることで解決する見込みがあります。地道に一つずつアンインストール→再起動→動作確認としていけば見つけられそうです。
なおセーフモードは常用するものではありません。あくまでも緊急避難あるいは検証用に留めましょう。
Seach Index生成停止
これは明瞭に副作用があります。ファイル検索が有効に機能しなくなるあるいは低速になります。
Windowsではファイルのインデックスを生成しておくことで検索を効率化しています。ただこのインデックス生成がバックグラウンドで動作しているとパフォーマンスに影響を及ぼすこともあります。このため検索を切り捨てて、インデックス生成をさせない設定も考えられます。
Windowsキー→「service」で「サービス」を起動し、「Windows Search」を右クリックし、プロパティを開きます。ここでスタートアップの種類を「無効」にすれば自動起動しなくなります。再起動するか、ここで停止させておけば動作を中断できます。
またそこまではしないでも、インデックスの生成範囲を限定することもできます。設定で「index」などと入力し「インデックスを生成する……」を選びます。次に「詳細インデックスオプション」で対象範囲を指定できます。限定すれば負荷も軽減されます。
BitLockerのバックアップ
普段の維持管理とは違いますが、最近適用範囲が広がったBitLockerについてです。
BitLockerはストレージの暗号化ツールです。ストレージを暗号化することでドライブを抜き出しても読み取れないようにします。かつてはストレージの暗号化は安全性と速度低下のトレードオフという感じの時代もありましたが、近年ではプロセッサの性能向上やソフトウェア改善で遅くなるなら暗号化しないというような考え方はほとんど不要になっています。
BitLockerの適用は従来はオプションでしたが、最新のUpdatesでは有効範囲が拡大されたようです。
BitLockerは安全性向上の面で優れていますが、暗号化である以上は暗号化キーを失えば所有者であってもアクセスできなくなってしまいます。したがって暗号化キーのバックアップが重要です。
スタート→BitLockerと入力→BitLockerの管理を選択、します。
ここで「OS(C:) BitLockerが有効です」のように表示されていればBitLockerで暗号化されています。
ここで「回復キーのバックアップ」を実行します。保存先は幾つか選べますが、ここでは「ファイルに保存する」とします。保存先にはCドライブは選べません。暗号化している対象のドライブにキーをバックアップしてもしようがないというわけです。USBメモリなどに格納し、大切に管理しましょう。
クラウドドライブ(OneDriveやGoogle Driveなど)
最近ではOneDriveやGoogle Driveのようなクラウド上のストレージを利用することも良く行われます。複数のPCを使い分けていたり、PCとスマホでデータを共有するのにはとても適しています。
一方でArduino IDEのように細かなファイルを連続的に書き換えるツールにとっては速度低下やデータの不整合が起きやすくなると言う不便な面もあります。開発環境の多くは同じような傾向があります。
ですので開発環境用のプロジェクトファイル(ソースコードの置き場所)にはクラウドドライブを使用しない方がよいでしょう。